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零細で決して大きくはない会社ですが、妻のよし江（泉ピン子）と夫婦2人で、ひっそりと経営し暮らしていました。

そんなある日沼田は、馬場利夫（小野武彦）からある人物を紹介されます。

馬場は沼田と違って大手サラ金の金業者です。

その馬場から紹介されたのは、国分英樹（財津一郎）という男でした。

“影のオーナー”と呼ばれる人物とのこと。

国分の話を聞くことにした沼田。

その内容はというと、国分が何かと気にかけていた女性、由良常子（木の実ナナ）が、旅役者である竹沢市太郎（梅沢富美男）と駆け落ちをしたということでした。

そして国分の依頼としては、常子たちから慰謝料として2000万円を、沼田が取り立てて欲しい、ということだったのです。

まず、常子（木の実ナナ）は市太郎（梅沢富美男）を殺したことにする。

まずそこで、借金の2000万円をチャラになるはず、というものです。

さらに常子を国外へ逃してあげるために、逃亡のための資金1000万円を国分（財津一郎）からどうにかしてもらってやろうということも併せて計画しました。

ですが沼田のそういった企ては、国分に全てお見通しだったのです。

沼田は国分に呼ばれたため、指定された料亭へ行きます。

するとそこには隠れていたはずの常子と市太郎の踊る姿がありました。

国分は常子と市太郎の借金2000万円の取り立てを、沼田の命と引き換えにするように命じてきました。

窮地に追いやられた沼田に対して常子は、借金を返済するための案として花村月之丞一座を旗揚げすることを提案してきました。

気は進まない沼田でしたが、常子（木の実ナナ）と市太郎（梅沢富美男）が踊った舞台に対するおひねりである万札が、宙に続々と舞っている様子を目の当たりにしました。

それを見て沼田は、花村月之丞一座を旗揚げすることを決意するのでした。

一方常子は協力者探しに奔走していました。

昔の座員を訪ねて声をかけますが、なかなか協力しようという者は現れませんでした。

やっとの思いで1人の賛同を得ることができた常子。

とはいえ、肝心の旗揚げに必要である資金についてはまだ足りない状況でした。

沼田は打つ手がなくなってしまったので、馬場（小野武彦）の元へ借金の申込みをしに行くことにしました。

そこで馬場から手渡されたのは“あるファイル”。

金の代わりになる、というファイルなのですが…。

そこでかつての借金常習者たちに目をつけていました。

まず彼らを白浜のホテルへ招待した沼田。

かつて沼田が執拗に取り立てていた債権者たちに、お詫びがしたいという名目で無料で招待したのでした。

怪しみながらもホテルへとやってきたかつての借金常習者たち。

そこへ、常子（木の実ナナ）と市太郎（梅沢富美男）の悲しげな話し声が聞こえてきます。

その内容は、座員に有り金を持ち逃げされてしまったために、芝居ができなくなった、というものでした。

そんな常子、市太郎と彼らは話をしていくうちに、徐々に打ち解けてきました。

そしてとうとう彼らは、常子や市太郎に加わることになったのです。

芝居もしたこともない彼らですが、懸命に稽古に励みました。

やがて本番を迎えた日、幕が開くとなんとそこには大勢の観客の姿がありました。

またひもじい思いをする日々。

彼らは舞台で覚えた感動を忘れられずにいたのです。

そんな中沼田（西田敏行）らから、もう一度舞台を手伝ってほしいと依頼を受けた彼らは、二つ返事で承諾し、仕事も辞めて、花村月之丞一座の座員になること決意しました。

公演をしたい気持ちでいっぱいの彼らですが、どの劇場も相手にしてくれない日々が続きます。

公演ができないため、借金の返済のあてもありません。

沼田は途方に暮れてしまいます。

するとそこへ馬場（小野武彦）からの呼び出しがありました。

そこに現れたのは西方（尾藤イサオ）。

国分（財津一郎）の使いで、沼田に取り立ての遅れを指摘し、迅速な取り立てを催促しにきたのです。

そんな西方に沼田はもう少し待ってもらえないかとお願いするのでした。

そこは下北沢にあり、廃墟同然のひどい有様でした。

沼田は常子（木の実ナナ）たちの意見はまるで無視。

そしてその小屋の名前を『鈴なり座』と名付けたのでした。

沼田は焦っていました。

一刻も早く借金を返済させたいという考えばかりが頭にあったのです。

なので、なるべく早く幕を開けて舞台をすることで、お金を集めようと躍起になりました。

そんな焦りからか、沼田は一座のしきたりを無視してあれこれ口出しをするようになります。

これまで舞台に立っていた立場の常子と市太郎（梅沢富美男）は、沼田に口出しされることは面白くない状況でした。

沼田は沼田で常子たちの芝居に対する情熱に苛立ちを覚えていました。

そして旗揚げ公演を目前に控えたある日。

沼田率いる一同はお披露目をするために下北沢の街を練り歩いていました。

ですが、観客の入りはバラバラで集客も悪い状態が続きました。

そのため借金返済についても依然厳しい状況でした。

そんな時、松永（潮哲也）の元婚約者だと名乗る令嬢が現れます。

令嬢はまだ松永に未練があり復縁を望んでいる様子でした。

もし両親が復縁に反対したとしても、松永のためであればどんな貧乏も受け入れると言い出すほどです。

一座にとって松永が抜けてしまうことは大きな痛手になってしまいます。

そこで沼田は一旦、松永には女ができたという嘘をつくことでその場はしのぎました。

ですが、お金もなく困窮していた沼田はさらに思いつきます。

元婚約者から手切金として、お金を巻き上げるということです。

最終的に沼田の作戦は成功。

令嬢は沼田の言葉に誘導されるかのように大金を支払ってしまったのでした。

そんな中、座員、小川妙子（萬田久子）に毎晩10万円を投げる気前の良い老人が現れます。

彼の名前は田口（信欣三）。

どうやら、田口のなくなった妻に、妙子がそっくりだというのです。

ここで沼田は、この田口をうまく利用することで、借金返済の当てになるのではないかと考えます。

そんなある日、妙子の夫である靖（橋爪功）が妙子の元に訪ねてきます。

彼はこれまで植物状態でずっと入院していましたが、回復していたのです。

田口を利用して金を巻き上げるためには、妙子は必要な存在です。

ここで居なくなられると困ると考えた沼田は、靖に「妙子には別の好きな男ができた‘と嘘をついて一芝居打つことにしました。

なんと靖は沼田のその嘘を信じ逆上。その夜相手の男を殺すつもりで、一座へとやってきたのですが…。

そんな時に、チンピラの安（小野川公三郎）が現れます。

突然やってきて、嫌がらせを始める安。

困った沼田（西田敏行）は1000円でケリをつけようとしました。

ですがこともあろうに安は、その1000円で堂々と場内に入り込んだのです。

そして暴れて芝居を台無しにしてしまいました。

その翌日、安は今度は兄貴分の辰夫（柴俊夫）と一緒に鈴なり座にやってきました。

彼らには沼田の妻よし江（泉ピン子）が対応しました。

辰夫を見て驚くよし江。

なんと辰夫はよし江にとって、忘れられない元恋人だったのです。

そのことを知った沼田にとっては、あまり良い状況ではありません。

ちょうどその時、馬場（小野武彦）からある誘いを受けていた沼田。

危険だが金の良い仕事をしないか、ということでした。

沼田は、その危険な仕事を辰夫にさせてやろうと思い立ったのでした。

そのことで利息分も支払えるようになってきたのです。

ところが一方で、 西方（尾藤イサオ）は以前と変わらず期日になるときっちり金を取り立てにきます。

そんな様子を見ている座員たちは不思議に感じるようになりました。

そんな中、座員の畑中洋一郎（河原崎長一郎）は、自分たちの利息分にしては高額すぎるのではないか、という疑問を抱くようになります。

座員たちにそのことを問い詰められた沼田（西田敏行）は、家賃や衣装代などに使っている、とごまかしその場を乗り切ろうとします。

ちょうどそんな時馬場（小野武彦）現れます。

そしてとうとう、馬場は、常子（木の実ナナ）たちの借金返済のために座員たちが沼田に利用されていることを話してしまうのでした。

その倉庫の持ち主であるマリア（北林谷栄）は行方が分からない状態でした。

ところがある日突然帰ってきます。

沼田にはマリアの借用証書を盾にすることで、小屋を鈴なり座として利用しているという経緯がありました。

マリアを見た沼田は驚きます。

なぜならマリアは、自身が幼い頃に生き別れた母親と顔が良く似ていることに気がついたからです。

そしてマリアは倉庫の借金を返すつもりでここへ帰ってきたと言います。

そんな時、沼田は国分（財津一郎）から呼び出しがかかり出かけていきます。

そこで国分に騙された沼田は、国分の思うままに倉庫の借用書を渡してしまったのです。

さらには国分から驚くことを聞かされます。

実は、マリアは生き別れた母親なんかではなく、ただの詐欺師でした。

そして借金返済のために用意していた小切手についても、併せて騙し取られていたのでした。

そのことを知った常子（木の実ナナ）と市太郎（梅沢富美男）は、政吉が切に願っていたため結婚し、祝言をあげることにしました。

その祝言には、一座から去ってしまった畑中（河原崎長一郎）も参加してくれました。

そして沼田（西田敏行）とよし江（泉ピン子）が仲人を務めて、ささやかですが式が執り行われました。

ところがその最中、西方（尾藤イサオ）が常子を迎えに来た、とやって来たではありませんか。

実は常子は、政吉の手術代を稼ぐために、国分（財津一郎）の紹介で、一晩200万円の座敷に出ることを密かに約束していたのです。

沼田たちは西方に必死で抵抗し、常子を行かせまいとします。

そしてなんとか西方を追い返すことに成功したのです。

その翌日、国分に呼び出された沼田。

そこで国分に手渡されたのは、マニラ行きの片道分のチケットなのでした。

そんな時沼田は、国分が病院で胃のレントゲン写真を撮り直して再検査することを小耳に挟みます。

そこで沼田は大きな決断を下します。

それは、一座全員で病院の医者や看護師になりすまし、大芝居を打つということです。

そうすることで国分にガン宣告をして、大金を巻き上げる、というのが沼田が考えた一世一代のストーリーでした。

沼田含めた一座全員の協力もあり、その作戦は見事に成功します。

国分は、自身の余命があとわずかしか残されていないことを信じて疑っていない様子です。

その翌日、沼田は西方（尾藤イサオ）から呼び出しがかかります。

このタイミングでの呼び出しです。

国分を騙したことがバレてしまったのではないか、と沼田は不安になりながらも西方の元へ向かうのでした。